トッカエ 1
私がカンボジアに来て間もない頃、
近所からよく鳴き声が聞こえてきていました。
外からなのに、すごくよく響く音はこんな風に聞こえます。
「トッ カエー トッ カエー...」(『トッ』の部分が強い)。
私はその鳴き声の質、回数の多さ、声量の大きさから、
鳥の鳴き声だと思っていました。
日本のニュースでたまに見る、
鳴き声の長さを競うような種類の鶏かと想像していました。
ある日、カンボジア語の授業を受けている時、ふと先生に尋ねてみました。
「近所から不思議な鳴き声がするんだけど、あれは何ですかね?」
「どんな鳴き声?」
「トッ カエ トッ カエと、何度か鳴きます。」
「ああ、それはトッカエというのよ。ここにトッカエのぬいぐるみがあるわ。」
鳴き声がそのまま名前になっているのも驚きでしたが、
もっと驚いたのは、先生が見せてくれたぬいぐるみは、「とかげ」だったのです。
「先生、それはとかげです。とかげではなく、鳥ですよ。」
「その鳴き声は鳥じゃなくて、とかげなのよ。」
「ええ〜!?」
半信半疑でしたが、いろんな人に尋ねたところ、その鳴き声は紛れもなくとかげのものでした。
とかげがあんな大きな鳴き声で鳴くとは知りませんでした。
それからというもの、私はその「トッカエ」なるものにひかれ、この目で見たいと思ってきましたが、
声はすれども姿は見えず。鳴き声がした時に外に出ても、間に合いません。
そんなトッカエの姿を初めて目にすることが出来たのは、私がカンボジアに来てから、もう1年以上が過ぎた頃でした。
私の活動する水上村からボートで一時間以上離れた所にある、
すごく小さな水上集落のおうちに遊びに行った時。
その家にトッカエがいたのです。
どうやってあんな水に浮かんだ舟の家にやって来たのでしょうか。
泳げるのでしょうか?
初対面のトッカエ。
その姿は、大きく、赤い斑点だらけで気持ち悪いものでした。
それに、どうやら「噛む」ようで、危険だから指を出さないように注意されました。 それ以来、私はトッカエはもう見なくていいなあなんて思っていたのですが...。
次回に続く!
写真キャプション
㈰トッカエ文字 カンボジア語で「トッカエ」とはこう書きます。
㈪トッカエの姿 写真中央下の、闇に光る赤い目がトッカエの目。大きい写真は次号に!